あたらし橋法律事務所

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意外と問題が起きる文書の送達

賃借人が賃料を支払わないので立ち退きをしてほしい。ときどきある相談です。

 大家さんとしては支払いをしない場合には立ち退きを求めることになります。通常は未納賃料の催促をして、支払いをしない場合には契約解除の通知(民法540条)をして賃貸借契約を終了させます。
 ところがここで実際に良くあるのは、賃借人が大家さんからの手紙を見ても受け取らない、ということです。多くの賃借人は「賃料を払っていない」ということには引け目を感じているので手紙の意図が分かりますし、賃料を払わない場合には光熱費やローンなどその他の支払いをしなくなっている場合も多いので、何でも手紙を避けようとするわけです。
 大家さんや管理人に会えば督促をされるので、なるべく昼間や平日はいないふりをします。
 このような場合、多くの場合訴訟を提起して訴状を被告に送っても通常はすぐには届きません。訴状が届かないと裁判は進みません。ではどうするのでしょうか?
民事訴訟法103条2項によれば、被告の住所地に送達ができない場合には、就業場所に送達をすることもできます。裁判所は一旦は就業先に送りたいので、自宅に届かない場合、「就業先がわからないか」を聞いてきます。賃借人がまだ一応仕事をしていて仕事先が分かる場合にはそこに訴状を再度送れば良いのですが、賃料が払えないときは仕事も順調ではない場合も多く、定まった仕事先がないかあっても大家さんが勤務先をつかめないことも多いのです。
 そのようなときは、賃借人の住民票を調べると共に、住所地にまだ居住をしているのか否か現地に行って調査をします。郵便受けや表札、洗濯物の状況や電気メーターの状況などを調べ、居住しているかどうかを明らかにし所在している旨の報告書を出します。通常はそれで済むのですが、先日は「メーターが回っているので居住は間違いない」と報告したところ、それでは済まず、裁判所から「近所の人にも所在調査の聞き取りをするよう」にと言われ、結局聞き取りのために現地調査に行くという2度手間となりました。
 所在が確かめられれば、裁判所は書留(いわゆる信書便も含みます)にして郵便を所在地に再度発送をします。そのときは発送をもって送達とみなし、文書の送達ができたことになるのです。これを書留に付する郵便(付郵便送達・民事訴訟法107条)といいます。
 このように文書の送達も一苦労があります。特に近隣での聞き取りと言われると都市部ではまだしも郊外では大変です。
 なお、所在調査をしても住んでいる様子ながなくテナントがどこにいるのかわからない、という場合には公示送達(民事訴訟法110条)となります。

2015年1月21日 

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